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ウェーバー/8つの小品(連弾曲)Op.60

スタッフTK オススメクラシック

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

  • ウェーバー/8つの小品(連弾曲)Op.60(その1)
 作曲家としての知名度はあるのに、代表作以外はあまり演奏される機会が少ない作曲家の一人、カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)。代表曲はベルリオーズの管弦楽編曲版でも有名な「舞踏への勧誘」(原曲はピアノ独奏曲です)、オペラ「魔弾の射手」で使われている「狩人の合唱」など誰でも知っている曲がある一方、ピアノソナタは4曲あるのですが全曲通して演奏されることは稀です。
 さて、今回紹介する連弾曲ですが、ウェーバーは連弾用の作品集を3つ残しています。初期の頃に作られた 6つの小品Op.3とOp.10a、そして1819年に作曲されたこの8つの小品です。最初の2つの作品集は易し目に作曲されているのですが、8つの小品はどの曲も2人のアンサンブルや演奏技術がしっかりしたものとなっています。この連弾曲も演奏される機会があまりないのですが、この中の2曲がヒンデミットの管弦楽曲「ウェーバーの主題による交響的変容」の第1、4楽章に使われているので、そちらの曲を聴かれた方は、おられるかも知れません。それでは曲紹介を。

 第1曲:モデラート
気負った所などない、やさしいメロディーの曲、でも途中16分音符が出てくるところから早くも2人のアンサンブル力が試されます。
 第2曲:アレグロ
ソナタ形式による作品。堂々とした第1主題、格式の高い雰囲気の第2主題、そう、この曲を第1楽章として連弾ソナタとして作曲してほしかったです(そうすれば演奏の機会が増えたかも?)。
 第3曲:アダージョ
ロマンティックで美しいメロディーの部分と、3連符メインのリズミカルな中間部との対比が見事な曲です。
 第4曲:ジンカラ(ジプシー)風に
ヒンデミット/交響的変容の第1楽章の原曲。ヒンデミットのどっしりしたテンポと比べるとかなり速いテンポです。どちらもABA+コーダの三部形式ですが、前半後半ほぼ同じな連弾版と比べると、ヒンデミットの方は後半Aがだいぶ感じが違い、コーダもまったく違うものになっています。
 第5曲:シチリア風に
有名なフォーレのシチリアーノ(シシリエンヌ)によく似ているフレーズがあります(もちろん作曲はウェーバーの方が先(70年以上も前)ですが…)。
 第6曲:主題と変奏
わずか8小節、10数秒で終わってしまう短い主題と8つの変奏曲。次々と変わる各変奏の特徴をつかんで演奏しないといけない曲です。
 第7曲:マーチ
原曲とヒンデミットのとではかなり印象の違う曲になっています。原曲の連弾は重々しい葬送行進曲、ABAの三部形式で長調に転調するBの部分では、同名曲のショパン(ピアノソナタ第2番 第3楽章)やベートーヴェン(英雄交響曲 第2楽章)と同じような、心落ち着く安らぎの音楽です。しかしヒンデミット/交響的変容の第4楽章はなんと力強い勝利の行進曲になっていて、Bの部分も連弾曲と同じメロディーなのに、とてもテンションの高いアレンジになっています。
 第8曲:ロンド
全曲を締めくくるに相応しいフィナーレ。リズミカルで強弱のメリハリも効いた弾いても聴いていても とても楽しい曲です。

ちなみに私のオススメのウェーバー作品は、室内楽曲のクラリネット五重奏曲です。第4楽章ラスト、クラリネットの目にも止まらぬ速ワザはスゴイの一言です。モーツァルトの曲とカップリングになっているCDがいくつかあるのでぜひ聴いてみて下さい。
今回も国内物の楽譜やCDが出ていない作品ですが、発表会などでぜひ取り上げてほしいです。

2018.11.6 Vol.16