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草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

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ビデオ・ゲーム・ミュージックについて(その1)

スタッフTKのおすすめ 2020.7.15 Vol.39

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

 月刊エレクトーン2020年2月号のゲーム音楽特集 その序文にアルバム『ビデオ・ゲーム・ミュージック』(以下「VGM」と略)について触れられていました。そこで今回はこのアルバムや1980年代前半のゲーム音楽について書いていきます。
 まず最初にこのアルバム「VGM」(当時はLPレコードで発売)は、ファミコン(任天堂の家庭用ゲーム機 ファミリーコンピュータ)の音源ではありません。ゲームセンターに置かれていたナムコ(現バンダイナムコ)のアーケード(業務用)ゲームの音源を収録したものです。1980年代のナムコは次々と人気作や話題作を世に送り出していたゲーム会社で、この「VGM」はYMOの細野晴臣氏プロデュースにより1984年にリリースされました。ちなみにファミコンの発売が1983年(この翌年から「ナムコット」レーベルとして、数々のナムコ作品がファミコン用ソフトとして発売されます)、そして多くの人がゲーム音楽として聞き覚えのあるスーパーマリオブラザーズの第1作は1985年、ドラゴンクエストの第1作は1986年の発売です。つまり「VGM」にはファミコン最初期以前1980~83年にかけて発売された10タイトルのゲーム音楽が収録され、おもに以下の4つに分類されます。
 A.単にプレイ中の音を収録したもの(パックマン、ディグダグ、ニューラリーX)
 B.ゲーム内の音楽をメドレーにして収録(ポールポジションの後半、ボスコニアン)
 C.メドレーだがメインBGMを何度も繰り返し、ロンド形式風に再構成したもの
   (マッピー、リブルラブル、フォゾン)
 D.細野晴臣氏のアレンジが入っているもの(ゼビウス、ギャラガ)
以上です。出来れば全ての曲について書きたいのですが、ここではC、Dの5タイトルの説明をしていきます。
 まず「マッピー」(1983年)は、8ビートのリズムが軽快なボーナスステージのBGMがオススメです。この曲はステージが(ほぼ)ミスなくクリア出来るのと同じタイミングで終わるように曲が作られています。次の「リブルラブル」(1983年)は操作が特殊なゲームでした。曲の途中でメンデルスゾーンの結婚行進曲が流れますが、これはキャラクターが落とすアルファベットを集め、B・R・I・D・A・Lの6文字を揃えることで、このBGMが流れました。
 1980年代前半、特にファミコンが出た当時のゲーム音は「ピコピコ音」と呼ばれ、またドラクエの音楽を担当した すぎやまこういち氏の話で聞いたことがあるかもしれませんが、ファミコンや当時のゲーム基板のサウンドは3声部+ノイズ(リズム)1パートという貧弱なものでした。つまりメロディラインとベースパートを使えば残りの声部は1つしかないという制約の中、この「VGM」に収録されているどの曲も工夫を凝らし、特にこの「リブルラブル」では、キラキラした音色が使われました。
 次に「フォゾン」(1983年)というゲームですが、これは「VGM」に収録された10作品の中でおそらく1番マイナーなゲームでしょう。しかしこのゲームの音楽は私にとってクラシックやポピュラーなどすべてのジャンルの音楽で衝撃を受けた作品ベスト5に入るスゴい曲です。ゆえにオススメはしません。このゲーム音楽を作曲したのは慶野由利子氏。音楽を手掛けた主なナムコ作品は他にディグダグ、ゼビウス、ドラゴンバスターなどがあります。
 1985年頃までナムコの音楽担当は他に、大野木宣幸氏(主な作品はニューラリーⅩ、ギャラガ、マッピー、リブルラブル、メトロクロスなど)、小沢純子氏(主な作品はギャプラス、ドルアーガの塔、スカイキッド、ローリングサンダーなど)の合わせて3人で、うち2人が女性作曲家だったという事実は、ほとんど知られていません。
 この頃のナムコゲームのBGMはマッピーなどのように口ずさめるメロディーの曲が多く、ノイズ系の爆発音以外は効果音も含めて五線譜に書き表されていました。そしてこの「フォゾン」もそうなのですが、あまりに速すぎるゲーム開始時の曲やメインBGM、そしてさらに超高速な後半の音楽が私を虜にしました。このゲームの曲が五線譜で表記できるなんて当時も今も信じられないです。 …続きは次回です。