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草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

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ビデオ・ゲーム・ミュージックについて(その2)

スタッフTKのおすすめ 2020.8.1 Vol.40

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

 1984年、ゲーム音楽のアルバムとして世界初のリリースとなった『ビデオ・ゲーム・ミュージック』(以下「VGM」と略)。前回の続きでこのアルバムのキモでもある細野晴臣氏アレンジによる2曲の解説です。
 まずこれ以外の8曲は基本的にゲーム音楽を効果音も含めて、直接ゲーム機体(筐体)から収録したものでしたが、「ゼビウス」(1983年)と「ギャラガ」(1981年)は、細野氏のアレンジにより、演奏の通りのプレイは不可能な内容となっています。またアレンジといっても現在のゲーム音楽CDのボーナストラックに収録されるオーケストラアレンジやピアノソロなどとは違い、ゲームに使われるサウンドや効果音を使ったアレンジです。
 それではこのアルバムの1曲目、当時はLPレコードだったのでA面に針を落とすとまず聴こえてくるのが、ゲームセンター内の喧騒、そしてゼビウスのクレジット音、ゲームスタートの音楽、プレイ中の音が、ゲームセンター内の周りの音と一緒に聴こえてきます。これは実際に都内のゲームセンターで収録されたもので、ゼビウス以外にも「ギャラガ」や「ポールポジション」そして他社のゲームですが、任天堂の「マリオブラザーズ」他のゲーム音やBGM、さらになんと『おーい、ごめんください!』というゲームセンターに営業(?)に来た男性の声まで聞こえます(曲が始まって約27秒後)。
 その後しばらくはゲームをプレイしている音だけが聞こえ、一度ミスしたのち、細野晴臣氏アレンジによるミニマルとテクノが融合した音楽が始まります(ここから周りの音は聞こえなくなります)。4つの音の半音階下降によるメインBGMにのせて様々な効果音がリズミカルに奏でられ、“バキュラ”というキャラクターにヒットした“カン!カン!”という音が特に耳に残ります(このリズムを再現しようとして何度ミスしたことか…)。その後実際のプレイではあり得ないエコーのかかった音などが使われ、2度目のミスの後エンディングを迎えます。このゲームのネーミングエントリーの曲は2種類あり、2~5位のプレイヤー用の神秘的なBGMが繰り返され、フェードアウトしていきます(ハイスコア時の能天気なBGMはアルバムには収録されていません)。
 次にアルバムの最後に収録されている「ギャラガ」は、まずゲーム中のBGMが次々と流れ、最初の曲が再びあらわれた後、細野氏による うっとりするようなアレンジが展開していきます。ここでは実際のゲームプレイでは起こりえない、曲が転調する部分があります(どうやっているんだろう?)。この部分は名前入れミュージックの4小節のBGMをひたすら繰り返し、そこに原曲にはないベースラインや内声部が加えられ、多くの効果音が(ヘッドホンで聴いたとき)左右に飛び交っていきます。
 この「ギャラガ」は今から10年程前の2010年8月7日、NHK-FMラジオにて不定期に放送される、ある一つのジャンルの音楽だけを扱う特番、『今日は一日“ゲーム音楽”三昧』(ゲストに高橋名人、コメントゲストに すぎやまこういち氏 他が参加されていました)にて約10時間にわたる放送の最後、105曲目で流れました。
 ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなど数多くのゲーム音楽が紹介された中、大トリとしてこの曲が選ばれたのは「VGM」というアルバムが画期的で、その後の日本でのゲーム及び、ゲーム音楽の発展に大きな影響を及ぼしたからだと思います。
 このアルバムが発売されたあと、第2弾「スーパーゼビウス」、第3弾「リターン・オブ・ビデオゲーム・ミュージック」がリリースされ(第3弾は細野氏のプロデュースではありません)、合わせてナムコ三部作と呼ばれました。
 当時45回転30㎝LPとして発売された「スーパーゼビウス」では細野氏によるテクノアレンジが最高な「ギャプラス」、「リターン・オブ~」ではロンド風メドレーでの最高峰ともいえる「ドルアーガの塔」(最後に流れる曲は昔『笑っていいとも』の素人参加コーナーでの表彰式で使われていました)、「スタンダード・テーマ」(小沢純子氏のゲーム音楽ではないオリジナルのピアノ曲)がオススメです。
 そしてこれらナムコ三部作のヒットにより、他のゲームメーカーもサウンドに力を入れたゲームが多く作られ、1985年頃にリリースされたもので、特に音楽にも注目してほしい作品が、「アウトラン」(セガ/1986年)、「ダライアス」(タイトー/1986年)、「R-TYPE」(アイレム/1987年)などです。そして『DUDDY MULK』(タイトー/ニンジャウォーリアーズ、サンプリング音源ではない、生の津軽三味線が入ったライブ音源がオススメです。)『セラミックハート』(タイトー/レイ・ストーム、こちらも女性作曲家 河本圭代氏によるエンディングスタッフロールで流れるピアノソロ曲)。この2曲は1980~90年代を代表するアーケードゲーム音楽の名曲です。ぜひ聴いてみてください。ナムコのゲームを含め、これらはユーチューブなどで“レトロゲーム ○○○(タイトル)”と検索すれば簡単に見つかり、曲を聴くことができるでしょう。