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ウォルトン/ベルシャザール(王)の饗宴

草津A・SQUARE店/ミュージックサロンA・SQUARE

今年(2019年)の秋、イギリス・ロンドンを中心に、盛大に行われる夏の風物詩「プロムス」が日本で初開催されます(東京・大阪で計6公演)。
ということで今回は本場プロムスでよく演奏される(日本でのプログラムには残念ながらなかった)合唱作品を紹介します。
ウィリアム・ウォルトン(1902-1983)はイギリスの作曲家。エルガーやブリテン、ヴォーン=ウィリアムズと比べると日本での知名度はあまり高くないですが、イギリス本国では絶大な人気を誇る作曲家で、交響曲から映画音楽まで、活躍した時期からするとかなり保守的なジャンルの作品を残しています。日本でもよく演奏されている曲は、戴冠式行進曲「王冠」(クラウン・インペリアル)、ヨハネスブルク祝典序曲など、吹奏楽ではメジャー・バーバラや審問などがあります。
 今回紹介する「ベルシャザールの饗宴」はウォルトン29歳、1931年に完成された大規模な作品で、旧約聖書にあるバビロンの栄華と崩壊、圧政から解放された人々の喜びを描いており、バリトン独唱、混声合唱とオーケストラからなる編成で、バリトンは語り部的な役割が多く、合唱はいくつかの部分では最大8部まで分けられます。そしてオーケストラは通常の編成にアルト・サクソフォーン、オルガン、ピアノ、奏者3~4人が必要な10種類以上の打楽器(特殊なものは中間部の『褒め称えよ(Praise ye)』の場面で使われます)、そしてステージの左右に金管のファンファーレ隊(後半のいくつかの曲でステージ中央の金管パートと連係して、左→中央→右→中央→左と同じフレーズを順々に演奏してステレオ効果を生み出しています)を置いた、とにかく派手でスケールの大きな音楽が展開していきます。
 曲は全体で10前後の部分に分かれますが(演奏によってCDのトラック数が違います)、続けて演奏され、通したときの演奏時間は約35分程です。前半は重苦しい音楽が続きますが、曲が始まって10分すぎのバリトン独唱から俄然面白くなっていきます。1分半にも渡る無伴奏でのバリトンソロ(『大いなる都バビロンには何でも集まる。金・銀・宝石はもちろん、大理石、羊、馬、戦車、奴隷、そして人々の魂までも』と朗々と歌い上げます)、そして速いテンポだが拍子がコロコロ変わる部分を経て(この部分もカッコいい音楽です)、中盤の山場『Praise ye The God of ○○』(○○の神を褒め称えよ)の部分に突入します。
 ここはまず、変わった所にアクセントが付いているトランペットのファンファーレから始まり、バリトン独唱で、続いて無伴奏の合唱で『金(Gold)の神を褒め称えよ』と歌われ、まさに豪華絢爛な音絵巻が展開していきます。そしてこの後『○○の神を』で、銀(Silver)、鉄(Iron)、木(Wood)、石(Stone)、ラッパ(Brass)と歌われ、それぞれの言葉に見合った楽器が効果的に鳴らされていき、『Brassの神を』の所から、舞台左右に配置されたファンファーレ隊との掛け合いが始まります。その後テンポがコロコロ変わる部分を経て、最後『神々(Gods)を褒め称えよ』と高らかに歌われて中盤のクライマックスを迎えます。
 この部分でインパクトがあるのはトランペットとバスドラムなのですが、私が初めてこの曲を聴いたとき、それよりも凄まじいホルンに圧倒されて、鳥肌が立ったことを今でも覚えています。どう凄いのかは、実際に聴いて下さい(私はこの曲の新しい演奏を見つけたら、ここのホルンをまずチェックします)。
 その後『Praise ye』の一つ前の曲が、ふたたび演奏されて(1度目とは歌詞を含めて所々違います)、後半の部分に入ります。
 後半も前半と同じように重苦しい雰囲気で始まりますが、さらにおどろおどろしさも醸し出しています。そしてついに『ベルシャザールが殺された』とバリトン独唱で告げられ、その直後の合唱の叫びがこの曲の聴きどころです。そして重低音から高音域に達するクレッシェンドのあと、急にテンポが速くなり、明るく活発な音楽が始まります。そしてそれがだんだんと静かになって無伴奏での合唱で『宴の音楽も止み、ろうそくの火も消え』と歌われ(この部分で二重合唱になります)、終曲(フィナーレ)を迎えます。
 終曲はバビロンの崩壊を喜ぶ人々の歓喜の合唱、熱狂的なオーケストラ、そして途中から合唱はひたすら『ハレルヤ』を連呼していき、大団円のラストを飾ります。
 音源はイギリスの指揮者やオーケストラでほぼ占められ、国内盤もプレヴィンやラトル、ショルティなどの指揮のCDが出ていたのですが、ことごとく廃盤になっています。ですが今年、本場プロムスでのライブ録音が再発されます(「これがホンモノのプロムナード・コンサートだ!」)。
2019.05.12 Vol.30